住宅ローンには「親子リレー」というのがあります。
親が高齢の場合によく利用される方法ですが、いったいどんな住宅ローンなのでしょう。
もうひとつ「親子ペアローン」というのもあります。
「親子リレー」と「親子ペア」の違いはなんでしょう?
今回は、親子リレーローンについて、メリットやデメリットもふくめ詳しく解説します。
ではさっそく、説明していきますね。
住宅ローンの「親子リレーローン」とは?
さっそく、住宅ローンの「親子リレーローン」について解説していきます。
まず、親子リレーローンの概要から。

このローン形態は、ざっくり言うと収入合算するためにあります。
さて「収入合算」とは、なんでしょうか?
- 収入合算
- 住宅ローンの借主個人の収入だけでは希望額の融資が受けられないとき、別の人の収入を合算することで融資額上限を上げる方法。
- 収入合算する相手は、配偶者や親子が考えられる。
住宅ローンは、完済時年齢に制限があります。
必然的に高齢であればあるほど返済期間が短くなるので、融資上限額が低くなります。
そうなると、借主(親)単独で希望の融資額に足りない場合も出てきます。
そんなときは、子供が返済を引き継ぐことで返済期間を延ばせます。
その結果、親だけだと20年しか借りられなかった住宅ローンが35年返済になったりします。
このように親から子に引き継ぐ形で収入合算する方法を「親子リレーローン」と言います。
なお、夫婦の収入合算については以下の記事で詳しく説明しています。
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親子リレーローン詳細について、もう少し説明しておきます。
申し込み可能な人
原則は、同居の親子。
収入合算可能な収入額
親子による収入合算では、合算できる金額に上限がある場合があります。
たとえば「主債務者(親)の収入の80%まで」とか「50%まで」といった感じです。
この条件は金融機関によって違うので、金融機関ごとに確認しておきましょう。
合算者(子)の収入が主債務者(親)より多い場合は、100%以上に加味してもらえるケースもあります。
収入合算者の審査
親子リレーローンについては、合算者(子)についても主債務者(親)と同様の住宅ローン審査があります。
ですので、合算者についても勤務先や勤続年数、信用力などチェックされます。
パートやアルバイト、派遣社員といった勤務形態は審査に影響します。
審査項目については、こちらで詳しく解説しています。
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借入期間
親の年齢に関しては、申し込み可能年齢であるかどうかが重要です。
一般的な住宅ローンでは「70歳まで」までとなっているものが多いです。
子供の年齢は、返済期間に影響します。
子が44歳以下なら、35年ローンを組むことも可能です。
団体信用生命保険
団体信用生命保険の扱いは、金融機関ごとに違います。
たとえば、こんなパターンがあります。
- 返済開始から全額子供が被保険者
- 親が70歳になるまでは全額親が被保険者
- 親が70歳になるまで親子50%ずつ被保険者
いずれの場合でも、親が70歳になると残債の全額に対して子供が被保険者になるようです。
詳細は、金融機関で確認してみてください。
親子リレー住宅ローンのメリットとデメリット
親子リレーローンのメリットとデメリットについても、解説しておきますね。
ずっと先にトラブルが起こるケースもあるので、しっかり検討しておいてください。
親子リレー住宅ローンのメリット
住宅ローンの「親子リレーローン」は、以下のようなメリットがあります。
- 返済期間を延ばせる
- 高額融資が受けられる
親子リレー住宅ローンのメリットは、この2つが大きいです。
返済期間は子供の年齢によるので、高齢の親単独に比べて長期間融資が受けられます。
長期間融資が受けられるということは、融資上限額も上がるということです。
「このメリットを受けるために、親子リレーローンにする」と言えるでしょう。
親子リレー住宅ローンのデメリット
住宅ローンの「親子リレーローン」は、以下のようなデメリットがあります。
- 親子でトラブルが起こったときに困る
- 相続のときに困る
まんがいち、親子で仲たがいするほどのトラブルが起こると・・・。
子供はものすごい嫌な思いをしながら、ローンの返済をしていくことになります。

というのは、避けたいところです。
また、親子が返済額に応じて所有権の「持ち分」を持つため、子に兄弟がいるとトラブルになることも。
親の持ち分を兄弟で分けて相続するとき、家を売って現金化せざるを得なくなるかもしれません。
いちおう、実行前にザックリ将来を想像しておくほうがいいですね。
住宅ローンの「親子ペアローン」との違い
さて、親子で収入合算する方法は「親子リレーローン」意外にもうひとつあります。
それが何かというと「親子ペアローン」です。
- 親子リレーローン
- 親子ペアローン
親子ペアローンと親子リレーローンの最大の違いは、ローン契約の数です。
リレーローンでは1つの契約を親子で引き継ぎますが、ペアローンは親子それぞれが単独でローン契約します。
ようするに、ペアローンは親も子もすぐに返済が始まるということです。
返済期間は「親が20年で子供が35年」といった具合に異なるケースもあり得ます。
違いを表にしてみましょう。
項目 | 親子リレーローン | 親子ペアローン |
---|---|---|
ローン契約 | 1本 | 2本 |
債務者 | 親(子は連帯債務者) | 親と子 |
ローン控除 | 控除期間の返済者のみ | 親と子 |
団信 | 金融機関による | 親と子 |
所有権持ち分 | 親子それぞれの返済額に応じて設定 | |
返済期間 | 子供の年齢による | 親子それぞれで判定 |
なお、ペアローンは原則親子や夫婦に限られます。
ただし、条件しだいでは兄弟や姉妹で組める金融機関もあります。
取り扱い金融機関が少ないですが、他に身寄りがない場合は相談してみましょう。